Onigawara design
2020
鬼の顔じゃなくても鬼瓦?!
いかにも迫力のある恐ろしい顔をした「鬼の顔」が付いているから鬼瓦と呼ぶのかと思いきや、鬼の顔(鬼面)がなくても鬼瓦と呼びます。鬼の顔が威圧的すぎると感じられたり、宗派などの都合だったり、鬼の顔を必要としない場合があっても、呼び名として「鬼瓦」は残っている、といった背景があるようです。
職人技が光る「阿吽」の付け方
このお寺にある「老龍」という紋に合わせ、龍と相性の良い「水」と「雲」をあしらっています。水が地、雲が天、という配置が理に適っているのですが、真正面から鬼瓦を見ることは少なく、斜めから見ることのほうが多いことから、見る方向によって表情を変えるために、それぞれを左右に分けて配置しています。
どの鬼瓦にもおなじモチーフ(老龍・水・雲)をあしらっているのですが、雲の流れや水のうねりが少しずつ異なっています。鬼瓦の種類によって装飾できる範囲が変わることはもちろん、おなじ種類の鬼瓦でもそれぞれに「阿吽」が付けられています。これは、型を作って複製するのではなく、鬼師さんがひとつひとつ丁寧に手で作り上げているからこそできることです。
ほかにも、紋の部分に釉薬を塗って仕上げる技法(葺師さんのお父さまが考案されたとか)も施されています。
なかなか近寄って見ることができるものではないですが、見えない(見えにくい)ところにこそ職人技が光っています。
Art Director, Fukishi | Tatsuma Shoji
Onishi | Tadayuki Kawasaki
Designer | Etsuki Sato